根強い人気シリーズ、カワサキ ZRX1200DAEG

レトロな美しさも併せ持つマルチなポテンシャル

ダエグと呼ばれるこのモデルは、カワサキを代表するZRXのラインナップの主力のバイクで2009年2月に発売されましたが、日本国内専売モデルとされ輸出はされませんでした。
トラディショナルな風貌と操作性に優れた味わいのある乗り心地で人気を博したのですが、2017年に排ガス規制の観点から製造中止が決定しました。

絶賛を浴びて絶大な人気を誇ったZ1000R1のデザインを踏襲し、歴史と定評を持つ水冷4気筒DOHC4バルブエンジンを積み、市街地走行からロングツーリングまで全ての場面で存分に力を発揮し活躍します。
操作性の良さに加え、荷物の積みやすさ、収納性能まで幅広い要素でハイレベルを実現しました。
ベースとなる車体構造はZRX1100を引き継ぎ、フレームなどをより強度のあるモノに改善されています。

車種名の由来

ダエグは、かつて北欧に居住していた印度・欧州語族・ゲルマン語派の人々が使用したルーン言語の一つです。
言葉の意味は「一日」をあらわし、英語圏でのDAYの語源とされます。
DAEG(ダエグ)は「成長」、「展開」などの積極的な意味も含み持ち、このことからトラディショナルな価値を持ちつつもさらなる進化を目指すという願いから命名されたのです。

スペックの概要

エンジンは1,164cm3・4ストローク・水冷ダブルオーバーヘッドカム4バルブ並列4気筒で、たたき出す最高出力は81kW (110PS)/8,000rpm、最大トルクが107Nm (10.9kgf・m)/6,000rpm、車両重量は246kgでした。
このモデルが日本国内モデルで輸出されないのは、発進と停止の繰り返しが必要な国内の交通事情や峠道や丘陵地帯でのアップダウンでツーリングを楽しむライダーが多い、国内市場の特殊性に合わせたバイクだからです。
このアップダウン走行のニーズから、最高出力は110psにまで高められ、ミッションは6速、燃料油はハイオクとされました。

取り回しに優れるコンパクトな車体

カワサキZ1000などにみられるドッカンパワーではなく、日常の使用速度で十分にパワーやトルクが感じられる常識的なレスポンスだと言えます。
高速道路の追い越しやワインディング走行では、とても扱いやすい走行能力で、フルスロットルは公道で使うことはないでしょう。
回転性能に優れ、まるで400ccクラスの車格ですが、246kgの車体ですので、停止時の移動はそれなりに重く、慣れと力は不可欠でしょう。

ハンドルのポジションは広くも狭くもなく、前後も適度なポジションです。
市街地の実走行での燃費はリッター当たり17~20km程度ですが、ハイオクタンガソリンであるため数字以上の厳しさを感じるでしょう。
全体的に見ると足回りや乗り心地、動力性能面全般において欠点がなく優れており、ワインディングの厳しい攻めにものんびり走るツーリングにもオールラウンドで活躍するマルチなバイクと言えます。
カワサキのファンで一台を所有するという方にはもってこいのバイクです。